「視覚トリップ展」に行ったら作品と監視について考えるきっかけになった
アートのことをたまに考えている学生です。現代アート、主に嗅覚芸術の研究と制作をしています。
noteを制作や展示のお知らせ用に利用しているのですが、個人的な展覧会の感想などを書くためにブログも開設しました。愛知県に住んでいるので県内の展覧会の感想が多くなると思います。
参考までにnoteのリンクを貼っておきますね。
さて初回である今回の内容は 、
ワタリウム美術館で開催中の「視覚トリップ展」の感想にします。
私はワタリウム美術館に行ったことがなかったのですが、有馬かおるさんの作品が今回展示されているとのことだったので東京まで行ってみました。有馬かおるさんは元々愛知県犬山市で活動されていて現在は宮城県石巻市のアートシーンを先導している作家さんですね。
個人的には、愛知県美術館で2019年に開催された「アイチアートクロニクル1919-2019」以来の久々に有馬さんの作品を鑑賞できる機会だったためワクワクしていました。
ワタリウム美術館はお洒落な街中のビル内に存在していて、愛知県の美術館に慣れている私にとっては東京って感じだな〜と新鮮でした。
二階から四階にかけて視覚トリップ展の展示室があり、一階と地下にはショップがありました。
人から話に聞いていた通り、地下は本の取り揃えが豊富でアーティストの写真集や作品集が沢山ありました。会田誠さんの作品集「天才でごめんなさい」を開いたら面白すぎて買いたくなりましたが予算オーバーだったので断念 :,(
あと視覚トリップ展とは関係のない階段部分に、名もなき実昌さんの作品が展示されていましたね。個人的に好きな作家さんなのですが初めて生で作品を見られてテンションが上がりました。
ワタリウム自体が面白かったので前置きが長くなってしまいましたが、展覧会自体の感想に移ります。
まず、どの階も著名な作家さんの作品ばかりで並びがとても豪華だなという印象を受けました。とくに、今回の展覧会の目玉であろう作家 ナムジュン・パイクのドローイングが沢山ありましたね。立体ももちろんあったのですが、あまりにプリティーな作風だったので平面作品の方が印象に残っています。
キース・ヘリングの作品も多かった気がします。ワタリウム美術館の建物や展示の仕方と親和性の高い作家であるように感じられました。壁の感じやちょっと鑑賞者と距離が近くなるような狭い空間に、キース・ヘリングの作品はよく映えていました。
目当てにしていた有馬かおるさんの作品は最高階に展示されていました。新聞紙を支持体にしたドローイング作品を作られているのですが、私はこの作品が好きだったので鑑賞できて嬉しかったです。
この新聞紙のドローイングは他の作品を見た時も思いましたが、やや卑猥なのになんだかすこし悲しい気もするなあっていう印象を受けます。特異な作品だけど絵柄のおかげで、自分から遠い存在であるように思わせないでいてくれるので、そこがクセになりますし愛着も湧きます。
ちなみに今回の展示の中なら「またおこられる」が好きでした。作品名がなんだったか分からないのですが、何かを漏らしている犬が泣いてます。表情もポーズも情けなくて憎めないです。
そうそう、アンディー・ウォーホルの作品も良かったです。この作家は案外、美的センスがギャルっぽいなと思いました。今回展示されていた作品のようなデザインのアクセサリーがもしあったとしたら、今の高校生もつけそうな可愛さとポップさと軽やかさがありました。〈ブルー・バタフライ・デイ〉という作品が素敵でした。
ワタリウム美術館、建物も作品のピックアップのセンスも組み合わせも素晴らしくてとても楽しめました。
だけどどうしても、
作品の展示の仕方について気になりました。
私は2年前くらいまで規模も大きくて広めの美術館で監視員のバイトをしていたので、作品がどう展示されて監視されているのか未だにかなり気になります。
展示や監視について考えることは、
作品の保護は勿論、鑑賞者が快適にトラブルなく過ごせる、そして安全に鑑賞して作品と対峙できる場を提供するために必要最低限大事な部分だと考えています。
ワタリウム美術館は冒頭にも書いた通り街中のビル内にある敷地が狭めの美術館です。階層は多いけど一階ごとの面積はあまりなく、沢山の素晴らしい作品を見てもらうためには工夫が必要な美術館でした。
そのため監視員をたくさん配置することも難しそうだし作品同士の距離も必然的に近くなるような構図でした。
今時、館内の監視員を減らして防犯カメラやセンサーで作品を保護しているところも多くあります。愛知県内だとメナード美術館という小牧にある美術館はカメラでの監視が主だった気がしますね。
しかし私は作品を盗難や接触から守る以前に、鑑賞者と作品の間の安全上のプロテクトをするために監視員は重要な役割を持つと思います。それは現代アートというメディウムや支持体が複雑に多様ななった分野であれば尚のこと重要ではないでしょうか。
視覚トリップ展には火を使った作品が二つもありました。だけどどちらもその作品専用の監視員がいたわけでも、特別な囲いがあったわけでもないという展示法でした。
パッと見て、誰か悪意のある人間や不注意な鑑賞者、もしくは親が目を離した時の小さい子供など 誰でも作品に触ることが可能だなと分かりました。
人為的なトラブルだけでなくて、地震発生時のことを考えると、尚更、この火の展示の仕方はリスク管理がどうなっているのかなぁと疑問に思いました。
またある立体作品がキャプションの近くに配置されていて、しかも背の低い作品だったため、文章に気を取られて蹴ってしまう人がいそうだなという展示もありましたね。逆に頭に当たりそうな位置にある作品も二つくらいあり、注意を促す掲示くらいあったっていいんじゃないかなと考えたりなどしました。
作品の展示に正解も不正解もないとは思います。作品がありのままで展示されていてそれを近場で鑑賞できたらそれは素晴らしいことだと思います。だけど作品も鑑賞者も両方を守るためには何かしらの譲歩が必要ですね。
スタイリッシュな展示でかつ安全に、と展示方法を工夫するにはデザインやアフォーダンスの勉強が必要なんだろうなぁと思ったりしました。
私はキュレーターになることが目標なので自分にとっては展示の安全性について考えるいい機会になりました。
不安要素も少しあったものの、展示されていた作品はどれも面白くて全く飽きのこない中弛みしていない気合の入った展覧会でした。
http://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202201/
5/15まで会期があるので、渋谷まで是非行ってみてください。もし展示の仕方が改善されていたらどなたか教えてくださいね。
それでは、また。



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