もはや見えない高さにある作品

 


先日

大学院の勉強のために必要だったので

ブラザーミュージアムに、はじめて行きました。


ブラザーミュージアムのエントランス


私はこれ以前に、企業の保有する、その企業を紹介するためのミュージアムには行ったことがありませんでした。
そしてブラザーミュージアムに行くまでこの企業がどんな製品を取り扱う会社なのかもよく知りませんでした。(工場製品のイメージくらいはあったのですが......)



気になる方のために、

ブラザーがどんな企業かというと▽

ブラザーグループは、あらゆる場面でお客様を第一に考え、モノ創りを通して優れた価値を創造し、迅速に提供することを使命としています。
「通信・プリンティング機器」「電子文具」「家庭用ミシン」「工業用ミシン」「産業機器」「工業用部品」「通信カラオケシステム」「コーディング・マーキング機器」「デジタル印刷機」など幅広い分野で、ブラザーならではの製品やサービスをお届けしています。

ブラザー企業紹介のページからの引用 


ブラザーがどんな会社か、引用した文から、もうわかりましたよね。私は入館してすぐに企業紹介のムービーを鑑賞したので、今これを読んでくれているあなたと同じくらいの知識量で展示室に入りました。


さて、ここからが本題です。

次の写真を見てほしいのです。




壁一面に ミシンだ!



この写真、壁から結構離れて、たぶん2メートルくらいは下がった位置から撮影したので上から下まで入っていますが、ほかの展示物と同じような距離から見ようとすると一番上らへんに関しては全く見ることができません。


私はキュレーター(美術館や芸術祭などの企画をしたり運営をする仕事。日本では学芸員がキュレーターの役割を担っている。)になることを目標として日々勉強しているのですが、この展示にはびっくりしました。


なにかを設置するときは、展示しているものをじっくり見てもらうために、見やすい位置に展示しそうなものですよね。


展示するものの高さに決まりはないはずですが、おおまかな目安の高さはあるようです。


2013年に愛知県美術館の学芸員さんがネットに作品の位置の高さに関する情報のPDFを公開してくださっているので載せておきます。(なんてぴったりな内容なの)

https://www-art.aac.pref.aichi.jp/collection/pdf/blog/130521.pdf?msclkid=2ec93857c31211ecb298743040d0bfee


この記事からわかるように、目の高さに合わせた展示をするミュージアムが多いみたいです。

じゃあ、なんでこんな展示方法にしたんでしょう?


ミュージアムは建設にお金がかかりますし、企業が運営するところならなおさら適当な配置にしているはずがないと思いました。

本当の理由というか、正答は無いと思うのですが、私なりに考えてみたので共有します。


一つは、「来場者を圧倒するためのオブジェ」という機能を与えられていると思います。

視線が届かないほど上部まで続くミシンの配列から、ミシンという物体のもつ時間の厚み(歴史の長さ)が共有されていました。

この展示室にはミシンの壁以外にも、ミシンにまつわるヒストリーの紹介や縫製業についての展示がありました。


一方で、他の展示室の展示方法は見る人に親しみ易い印象です。


たとえば、鑑賞者が自由に製品の使用体験ができる展示。



わたしはキティちゃんのステッカーメーカーで自分のなまえシールを作りました。

(かわいいね~)



あと、大きな石原裕次郎のマネキンもいました。






石原裕次郎のマネキンがミュージアム側からフォトスポットと判断されているのって、

なんかよかったです。



こんな感じで、初めて来場した人でも面白いと思える展示がいくつもありました。



だからこそ、「ミシンの壁」の部分はグローバル企業、かつ、長い歴史を持つこの企業の重厚さと威厳を展示で表しているように感じられました。


二つ目は、他の展示とは異なり説明やキャプションが省かれていることから、「単なる視覚的な美を与えるための展示」にしたかったのでは、と考えました。


ちなみにミシンの壁の前に機械があり、どのミシンがどんな名前で何年ごろのものかとか、そういう情報は知ることができました。でも展示物自体の周りはとてもミニマルで、全体の統一感を重視しているのだろうと思いました。




また、美術館側がインスタグラムに投稿することをキャプションで求めている通り、写真を撮って誰かに見せたくなるような美しさを感じました。この展示の仕方はミシンというちょっと退屈とも思えそうな物体の配置に「整備された美」をもたらしていました。



見やすさを作品の展示においては最重要すべきと考えがちですが、配置で見る人への印象をチェンジできるのかと知ることができた機会になりました。



ちなみにこの展示室には二階も設置されており、上に行けば上部の展示物もしっかり見られるという仕組みになっていました。


階段で上がるため、車いすユーザーの方はもしかしたら大変かもしれません。(エレベーターはぱっと見ではなかった気がするのですが、確認不足かもしれないので気になる方は来館前にミュージアムへ問い合わせることをオススメします)



それから現在(2022年4月時点)、ブラザーミュージアムは感染防止の対策としてネット予約が必要なのでご注意くださいませ。

平日のみの開館で、入場料は無料です。


すぐに見て回れる規模ですが、情報量の多い展示なので楽しめますよ。

気になる方は是非行ってみてくださいね。



https://global.brother/ja/corporate/museum






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